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プログラミングの勉強まとめ

経済 オークション理論1

 プログラミングと全く関係ないように思われますが、じつはGoogleyahoo!の広告にはオークションの理論が使われていたりします。アルゴリズムゲーム理論、メカニズムデザイン等の分野が多数絡みあって、非常におもしろい理論です。他の勉強と併せて解説していきたいと思います。

 

 一応扱う範囲としては下の内容を予定しています。最終的に現在議論が進んでいる分野、例えば昨年のノーベル経済学賞を受賞したハートの契約理論などにタッチしたいと思います。

 応用が幅広く利く分野なので、身の回りのことでより良い仕組みを考えたり、参加者の行動予測に役立てたり、自身の収益を予想したり、いろんなことの取っ掛かりに役立てばなと思っています。

 

 扱う内容

 

 オークション理論の展開

 今からオークション理論を学ばれる方はおそらくクリシュナの本が非常に役に立ちます。洋書で結構高かったりしますが、かなり読み易く使われる数学も丁寧に解説されています。確か大学院で使用される標準テキスト、というのを聞いたことがあります。

Auction Theory, Second Edition

Auction Theory, Second Edition

 

  こうした教科書が現れるまでは、論文ベースで話が進んでいました。画期的な理論が示されたのは1961年のVickreyの論文です。ここで初めてオークションがゲーム理論を用いて確立されました。

 あまりに有名な論文なのでpdfで公開され読むことができます。

 http://robotics.eecs.berkeley.edu/~wlr/228aF04/Vickrey61.pdf

 同時代近辺だとcassadyの次の本がよく使われます。理論というよりは読み物としてオークションの歴史などを追うときに非常に役に立ちます。たぶん、オークション理論を学んだ人が必ずといっていいほど引用するヘロドトスの花嫁オークションなどはこの本で紹介されています。

Auctions and Auctioneering (California Library Reprint Series)

Auctions and Auctioneering (California Library Reprint Series)

 

  Vickreyによって示されたオークション理論はおよそ20年間のときを経て、Myersonらのオークション理論へとつながっていきます。さらに時代が進むと、一時期話題になった周波数帯オークションが登場します。

 ここら辺の論文はかなり豊富にありますが、クレンペラーとビンモアの論文がお勧めです。クレンペラー博士は自身のサイトで論文をまとめて掲載していますので、お金のない貧乏学生でも読むことができます。

 ビンモア博士は、イギリスの周波数帯オークションを成功させた功績で、たしかナイトの称号を授与されています。日本語で読める本もあるのでかなり気軽に勉強できます。

ゲーム理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

ゲーム理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

 

  現代に至るとコンピュータなどの分野と絡み始めAlgorithmic Game Theoryなどの分野が現れます。こちらの文献としては下の本がお勧めです。ケンブリッジ大学の講義資料に使われていたものをまとめた本です(なのでかなり読み易い)。ちなみに著者サイトでは講義資料がpdfで公開されているので無料で読めます。

Twenty Lectures on Algorithmic Game Theory

Twenty Lectures on Algorithmic Game Theory

 

 

 ゲーム理論との絡み

 オークション理論はゲーム理論で記述されています。メカニズムデザインもゲーム理論の均衡概念を使用していたりするので、オークション理論を学ぶときはゲーム理論の知識が不可欠になります。

 

 ゲーム理論を始めて学ばれる方は、まず本よりもゲーム理論における均衡概念を示したジョン・ナッシュの映画を見て欲しいです。昨年交通事故で亡くなられたと聞いたときは本当にショックでした。ご冥福をお祈りいたします。

 ナッシュ均衡として有名なナッシュですが、ゲーム理論を始めに作ったのは実は彼ではなかったりします。初めてゲームの理論を示したのは天才フォン・ノイマンです。下の本でノイマンの理論が読めますがお勧めできません。ビンモア博士も苦戦される内容です。ですが、ノイマンの使う数学を見ることができるだけ幸せだと思います。

ゲームの理論と経済行動〈1〉 (ちくま学芸文庫)

ゲームの理論と経済行動〈1〉 (ちくま学芸文庫)

 

  ナッシュの用いたゲーム理論と、ノイマンの用いたゲーム理論は実は若干異なっています。簡単に峻別するとナッシュは非協力ゲームを中心に考えていましたが、ノイマンは協力ゲームを中心に考えていました。

  

 非協力ゲームは協調する予定のないプレイヤー同士が対峙するゲームで、協力ゲームは協調を前提としたプレイヤー同士のゲームです。現代のゲーム理論は非協力ゲームが主流で、協力ゲームはあまり表にでなかったりします。

 

 ゲーム理論の均衡概念とは、戦略的に行動した場合のゲームの結果を示しています。均衡概念を詳しく勉強されたい方は不動点定理をかじっておくと良いです。ブラウワーの不動点定理や角谷の不動点定理がありますが、使いやすい方を使うのが良いです。自分はブラウワーの方をよく使います。

 

 位相数学が絡んでくるので専門の本を読まれるのもいいですが、手軽に学習したい方は下の本がとても分かりやすいのでお勧めです。レビューで分かりずらいと書かれていますが、相性の問題があるのかもしれません。分かりづらいと感じた方は位相数学の入門書をまず読まれるとすんなり入ってきます。

経済数学早わかり

経済数学早わかり

 

 

 ゲーム理論の入門書としては岡田章先生の本がおすすめです。

ゲーム理論・入門 新版--人間社会の理解のために (有斐閣アルマ)

ゲーム理論・入門 新版--人間社会の理解のために (有斐閣アルマ)

 

  これを読まれた後、何冊かゲーム理論の本を読んで馴れたら下の本へ進むと良いです。

ゲーム理論 新版

ゲーム理論 新版

 

  ここまで読まれたら後は論文ベースで読んでいくしかないように思います。

 

 また、先に挙げた2冊は非協力ゲームが中心に書かれています。後半に少し出てきますが協力ゲームを知りたい方はこちらが良いです。ゲーム理論を学ばれた方なら鈴木光男でピンとくると思いますが、あの鈴木光男先生の本です。

協力ゲームの理論 (UP応用数学選書 (11))

協力ゲームの理論 (UP応用数学選書 (11))

 

  実際に分析を行おうと思ったら、これに加えて統計学を学ばれると尚良いです。実際に統計を行う際はRを使うか、コマンドベースが苦手な方はRStudioを使われると良いです。

 

 メカニズムデザイン

 オークション理論はメカニズムデザインの観点からもよく分析されます。上の本をだいたい読まれたら次の文献はかなり楽に読めると思います。

メカニズムデザイン―資源配分制度の設計とインセンティブ

メカニズムデザイン―資源配分制度の設計とインセンティブ

 

  後はこちら。

オークション 理論とデザイン

オークション 理論とデザイン

 

 

 こうした文献を中心に、片手間にですがオークション理論を進めていきたいと思います。